地方在住でもフルリモートSREを取る:エージェント併用ロードマップ
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夜行バスで帰省しながら、ノートPC越しに障害対応をした夜がある。場所に縛られず働けるはずなのに、求人票の「フルリモート可」が実際は月数回の出社前提で落とされた経験もした。この記事は 「地方在住のままフルリモートSRE・インフラ求人を取り切りたい人」 に向けて、エージェントの選び方と温度を上げるための提出物、90日で内定を狙う動き方をまとめる。
なぜ地方×フルリモートが今狙い目か
- SaaSやゲーム基盤で24/7運用をカバーするタイムゾーン分散が進み、地方居住でもSRE/プラットフォームのリモート席が増加。
- 物価上昇でオフィス縮小が続き、クラウド基盤を遠隔で回せる人材の単価が上がっている。
- セキュリティ要件は厳しくなっているため、Runbook・監査ログ・ゼロトラスト運用の実践を示せる人に発注が集中する。
フルリモート求人で刺さるエージェント併用マップ
地方在住で「フルリモート」を必須にすると紹介件数が減る。タイプの違うエージェントを併用し、「案件幅×技術深度×交渉力」を分担させるのが現実的。
技術特化(深掘り用)
- レバテック、GeeklyなどIT特化。クラウド・SRE領域の非公開求人が多く、面接フィードバックが速い。
- 提出物で刺さるのは、TerraformリポジトリとSLO/ポストモーテムのセット。技術キーワードのマッチ精度を上げる目的で使う。
総合型(間口拡大用)
- リクルートエージェント、マイナビIT。地方企業や出社頻度が低い自社開発を拾いやすい。
- 「勤務地: 自宅」「出社: 月1以下」「時差勤務可」を明文化して伝えると、スクリーニングが速い。
スカウト・ハイクラス(年収上振れ狙い)
- doda X、JAC、ビズリーチ等。900万〜のハイクラスSRE/PlatformやEMポジションが届く。
- 職務経歴書に「フルリモート可否」「オンコール上限」「担当プロダクト規模」を先に書き、スカウト精度を上げる。
業務委託→正社員化ルート
- フリーランス仲介(例: 週3-4日のリモート案件)で契約し、3〜6ヶ月後に正社員化交渉するパターン。地方在住でも実績を積みやすい。
- エージェントに「正社員化の実績があるか」「評価タイミング」を確認してから参入する。
担当者の温度を上げる提出セット(テンプレ)
初回面談の翌日に、以下をセットで送り返すと紹介スピードが一気に上がる。
- ポートフォリオ: TerraformでVPC+ALB+ECS/RDSを構築したリポジトリ(READMEに構成図とコスト試算付き)。
- Runbook & ポストモーテム: アラート→一次対応→恒久策までを書いたPDF/Notionリンクを2件以上。
- リモート環境の証跡: 自宅回線速度スクショ、UPSや2系統ネット回線の写真。**「在宅で安定運用できる」**ことを数値で見せる。
- 希望条件を数値化: 年収レンジ、オンコール上限(月○回)、出社上限(月○回)、コアタイムの可否。
書類と面接で強調する「リモート適性」5点
- 非同期コミュニケーション: 週次ステータスレポート、インシデント共有テンプレを持っている。
- 監査対応力: CloudTrail/Config/Access Analyzerの設定と、権限棚卸しのサイクルを説明できる。
- Runbook運用: 障害時の判断フローを図解し、外部委託でも回る形で整備している。
- セキュリティ担保: 自宅環境のゼロトラスト(SSM/Boundary、端末暗号化、MFA強制)を具体的に語れる。
- タイムゾーン連携: 海外メンバーと動いた例を用意し、引き継ぎドキュメントのサンプルを見せる。
30-60-90日で内定を狙う動線
Day0-30:土台づくり
- GitHubにフルリモート運用を意識したIaCリポジトリを公開(VPN/Session Manager込み)。
- エージェント3タイプ(技術特化・総合・スカウト)に同じ資料セットを送付し、求人の粒度を比較。
- 在宅環境を整備し、回線速度と冗長化の証跡を作る。
Day31-60:面接強化
- 技術特化エージェントで模擬面接を依頼し、リモート運用・可用性・コストの深掘り質問に回答練習。
- 総合型で地方企業のリモート可案件を数件受け、想定年収と条件の相場を掴む。
- スカウトサービスに職務経歴書を最適化し、「出社上限」「オンコール頻度」を明記。
Day61-90:交渉と最終調整
- オファー面談前に条件表を作成(年収レンジ、リモート比率、オンコール、コアタイム、PC貸与/セキュリティ)。
- 複数内定が出始めたら、条件表を添付して各エージェントに逆提示を依頼し、リモート比率と年収を上振れさせる。
- 業務委託案件が好感触なら、正社員化の評価タイミングと面接プロセスを確認し、並行で進める。
条件交渉で決めておく数値
- 出社頻度: 「月0〜1回まで」「四半期に1回なら交通費支給必須」など上限を具体的に。
- オンコール: 当番回数(月○回)、一次対応時間帯(19:00-7:00など)、追加手当の有無。
- 勤務時間帯: コアタイムの有無、時差勤務(例: 11:00-20:00)許容の可否。
- 機材・セキュリティ: 会社貸与PC必須か、BYOD可ならMDM/MFA条件を事前に明記。
よくある失敗と回避策
- 「フルリモート可」を鵜呑みにして内定後に月数回出社を知る → 初回面談で「実績としてどの程度出社しているか」を聞き、オファー条件に明記。
- 地方在住を理由に書類で落ちる → 回線証跡とRunbookを先に渡し、リモート運用実績を可視化。
- エージェントを一社に絞り、案件が枯れる → 技術特化・総合・スカウトの3本柱を並走させ、週1で状況共有して優先度を維持。
まとめと次の一手
フルリモート求人は「技術力×リモート運用の再現性×条件交渉」の三点セットで決まる。地方在住でも、エージェントを役割で分けて使い、提出物で温度を上げれば射程に入る。
今日できる小さなアクションはこの3つ。
- TerraformリポジトリにVPN/Session Managerを加え、READMEに在宅運用の手順と回線証跡を追記する。
- 技術特化と総合型エージェントに同じ資料を送り、リモート可の非公開求人を1週間以内に3件引き出す。
- スカウトサービスの職務経歴書に「出社上限・オンコール上限」を追記し、返信率の変化を計測する。
面接対策を深めたい人は クラウドエンジニア転職の面接対策 実戦ガイド、年収の上げ方を知りたい人は クラウドインフラエンジニアで1000万を超える方法 も続けて読んでほしい。地方でも、準備と交渉次第でフルリモートSREは十分に手が届く。