クラウドインフラエンジニアで1000万を超える方法

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夜勤のNOCでログを追いながら「このままアラート対応だけでは年収は上がらない」と気づいた2013年、IaCとクラウドに舵を切りました。そこからSREとPlatform Engineerを渡り歩き、二社目のリードロールで年収1000万を超えたときに実感したのは、給与を決めるのは「どれだけ仕組みを変えたか」と「安全に速くリリースできる環境を作れたか」でした。この記事では、同じゴールを目指す人が遠回りしないために、現場で効いた判断軸と動き方を置いていきます。


1000万帯で評価されるスキルの実像

求人票のキーワードを並べるだけでは足りません。面接で突っ込まれる観点に沿って、どこまで語れるかが分かれ目になります。

クラウド基盤は「つながり」で説明できるか

AWSが母数の大半。VPCとIAMを軸に、Route 53のヘルスチェック→ALB→ECS/EKS→CloudWatchまで一連の流れで話せると評価が一段上がります。NAT GatewayやKMS、CloudFrontの設計理由をコストとセキュリティの両面で説明できると、即戦力として見られやすい。

IaCとCI/CDは再現性と安全な変更速度を示す

TerraformやAWS CDKでモジュール化し、S3+DynamoDBでステートをロック。GitHub ActionsやCodePipelineでplanをPRに自動コメントし、applyを手動承認に分離する。Blue/GreenやCanaryの実例を1つでも持っておくと、面接官の質問が和らぎます。

SRE視点の運用設計

SLO/SLIとError Budgetを自分の言葉で語れるか。たとえば「p99レスポンス250ms、月次でエラーバジェット5分」など具体値で話すと説得力が出ます。PostmortemでMTTRや検知遅延を数字で示し、再発防止策までオーナーシップを持った経験があると強い。

コンテナとオーケストレーション

ECS/Fargateで十分なケースとEKSが必要なケースを判断できるかが問われます。運用コスト(パッチ適用、Observability、ネットワーク設計)の見積もりまで踏み込めると、設計力が伝わる。

プログラミングは小さな改善を自作できれば足りる

PythonやTypeScriptでSlack Bot、ログ集計Lambda、簡易CLIをさっと書けるとチームの摩擦が減ります。REST/GraphQLで薄いAPIを一度組んでおくとバックエンドとの議論が滑らか。


600〜800万帯と1000万帯の仕事の差分

ギャップは「言われた作業」から「仕組みを変える」への踏み込み度合い。自分が給与テーブルを上げたときに実際に担っていたタスクを挙げます。

  • 新規プロダクトのAWS設計とセキュリティレビュー(Threat Modeling込み)
  • モノリスからECS/EKSへの段階的移行計画と移行後の運用手当
  • Datadog/CloudWatchで監視設計、SLO策定、Error Budgetを使ったスプリント調整
  • NAT GatewayやALBのコスト最適化(マルチAZ設計とSavings Plans併用の見直し)
  • Terraformモジュールの標準化とセルフサービスなプラットフォーム整備
  • 障害後のPostmortem主導と再発防止の実装までのオーナーシップ

最短で1000万に近づく動き方(現場で効いた順番)

週10時間の学習と業務外アウトプットを前提に、実際に効果が出た時間軸です。

0〜2ヶ月:AWSコアとLinuxを固める

VPC/EC2/S3/IAM/ALBを無料枠で2周。初回はコンソール、2周目はCLI。セキュリティグループ設計とIAMロールの使い分けを口頭で説明できるまで繰り返す。

2〜5ヶ月:Terraform + CI/CD を型にする

S3+DynamoDBでステートロックし、VPC→ALB→ECS/Fargate→RDSをモジュール化。GitHub ActionsでplanをPRコメント、applyを手動承認に分ける。ここで「安全に変更を流せる仕組み」を一本作る。

5〜8ヶ月:SRE実績を作る

CloudWatch/Datadogでアラート整理し、誤報を半減させた数字を残す。Postmortemを2本書き、MTTRと検知遅延を改善。SLOを1サービス分でも設定して運用する。

8〜12ヶ月:800〜900万帯に乗る転職

SRE/Platform Engineerを正式に置いている企業を狙う。構成図、Postmortem、Terraformリポジトリをセットで提示できると一次通過率が上がる。面接官としてもドキュメントが整っている候補者は評価しやすい。

12〜24ヶ月:二社目で1000万へ

リードやテックリードとしてスコープを広げ、全社的な基盤刷新や共通モジュール化をリードする。組織インパクトが給与テーブルを押し上げるポイント。


エージェントは得意分野で使い分ける

  • レバテックキャリア: AWS/IaC案件が豊富。技術寄りの面接対策が助かった。
  • ギークリー (Geekly): ハイクラスSRE/Platform求人が多く提示額も高め。スクリーニングはやや厳しめ。
  • マイナビIT AGENT: 大手インハウスSREを拾いやすい。福利厚生重視の人に合う。
  • ビズリーチ: 900万〜1500万帯のスカウトが届く。職務経歴書をクラウド文脈で書き直すと返信率が上がる。
  • Paiza転職: コーディングテスト経由で面接へ。20代後半でスキルを可視化したい人に向く。
    複数登録して、非公開求人の要件を毎週聞き、学習テーマを更新するサイクルが現実的です。

今日から動けるチェックリスト

  1. AWS無料枠でVPC+ALB+ECS(Fargate)を構築し、削除まで往復する。
  2. 同構成をTerraform化し、terraform plan をPRに自動コメントするGitHub Actionsを設定。
  3. CloudWatchアラームを貼り、閾値調整で誤報を減らす実験を一度行い、READMEに結果を残す。
  4. 直近の障害を一件選び、Postmortemを書いて検知〜復旧時間を測り、再発防止策を決める。
  5. エージェントを2社登録し、非公開求人の要件を週次で聞いて学習計画を更新する。
    小さく刻めば夜勤明けでも前に進める。積み上げたドキュメントがそのまま面接の武器になります。

おわりに

年収1000万は一発逆転ではなく、設計と自動化で「安全に速く変えられる仕組み」を作り続けた結果として届きました。監視経験がある人はクラウドに翻訳するだけで半歩リードしています。まずは自分の手で環境を作り、壊し、直し、その記録をリポジトリとPostmortemに残してください。そこから市場での評価は確実に変わり始めます。