クラウドエンジニア職務経歴書の書き方 ATSを抜ける実例テンプレ

目次

夜のコワーキングで書いた最初の職務経歴書は、3社続けてATS落ちでした。理由を聞けず悔しかったので、求人票を単語レベルで分解し、成果を数字で書き直したところ、翌週には一次面接が2件通過。文章の上手さより、**「キーワード」「役割」「数字」**の3点が揃っているかがすべてだと痛感しました。この記事はそのとき作ったテンプレをクラウドエンジニア向けに磨き直したものです。


採用側がクラウドエンジニアの職務経歴書で見る3つの軸

  • 役割とスコープ: SRE/Platform/Infraのどこまでを担ったのか。設計〜運用までの幅が分かるか。
  • 成果の数字: MTTR、誤報削減率、リリース頻度、コスト削減額など定量指標で書かれているか。
  • キーワード一致度: 求人票にあるサービス名やトピック(例: "ECS" "Terraform" "SLO" "セキュリティレビュー")が適切に含まれているか。ATSはここを機械的に判定します。

この3軸を満たすと、採用担当→技術面接官のパスが滑らかになります。

1ページ目で伝わる「職務要約」の型

「どんな課題を、どんな環境で、どう変えたか」を3〜4行に凝縮します。例をそのまま差し替えて使えます。

クラウドインフラエンジニア(SRE寄り)。AWS上のB2CサービスでALB+ECS/Fargate+RDSを担当。TerraformとGitHub Actionsでplan自動コメント/手動applyを整備し、デプロイ失敗率を3%→0.6%に低減。監視アラートの誤報を半年で50%削減し、オンコール当番の負荷を軽減。

ポイントは以下の4つだけです。

  1. ロール名とスコープを先頭に置く(SRE/Platformなど)。
  2. 主要スタックを1行にまとめる(VPC, ALB, ECS/Fargate, RDS, Terraform, GitHub Actions)。
  3. 変えた成果を数字で2つ書く(エラーレート・コスト・リードタイム・誤報など)。
  4. 貢献の対象を示す(オンコール担当、開発チーム、FinOpsチームなど)。

プロジェクト記述は「課題→行動→結果」を1セットで

ひとつの案件につき3〜4行で十分です。以下をコピペして自分の事例を入れてください。

プロジェクト: 決済APIの可用性向上(2024/01-2024/08)
環境: AWS (VPC, ALB, ECS/Fargate, RDS Multi-AZ), Terraform, GitHub Actions, Datadog
課題: 障害時のフェイルオーバー手順が手作業でMTTRが平均45分
対応: RDSフェイルオーバー訓練をRunbook化、ALBヘルスチェックとAuto Scalingしきい値を見直し、Blue/GreenデプロイをActionsに追加
結果: MTTRを45分→12分、デプロイ失敗率を3%→0.7%、夜間オンコール件数を月8件→3件に削減
  • 環境行はサービス名を素直に並べるとATSが拾いやすいです。
  • 課題は数字またはリスクを1つだけ書くと読み手が迷いません。
  • 結果はビジネス寄り(売上/離脱率)か運用寄り(MTTR/誤報/コスト)のどちらかで数字を置きましょう。

ATSを通すキーワード設計の手順

  1. 応募先の求人票から必須/歓迎の単語を列挙(ECS, RDS, Terraform, SLO, セキュリティレビューなど)。
  2. 自分の経験で言い換えられる語も追加("パフォーマンステスト" ≒ "負荷試験")。
  3. 職務要約と各プロジェクトの環境行に均等に散らす。1箇所に固めず、ページ上部にも必ず入れる。
  4. 英語と日本語の両方が存在するものは併記すると安全(例: "障害対応 (Incident Response)")。

「AWSサービス名の羅列」は避けたいですが、ATS対策として役割と紐づけて最小限は入れるのが現実的です。

数字が出しづらいときの代替指標

  • アラートの誤報率や「閾値調整前後の件数」を書く。
  • リリース頻度(週1→週3)やリードタイム(Pull Requestからデプロイまでの時間)。
  • コストはSavings Plans/Reserved Instances導入で月◯万円削減など、推計でも根拠を添える。
  • セキュリティ系なら脆弱性スキャンの検知件数減設定ドリフト検知の自動化を書けます。

数字がゼロでも、期間とサイクルの改善を書くと定量感が出ます。

技術スタックの見せ方は「一覧 + 使い方の一言」

箇条書きでスタックを羅列し、その下に短い使い方を書くと視認性が上がります。

主要スタック
- AWS: VPC, ALB, ECS/Fargate, RDS, CloudWatch, KMS, CloudFront
- IaC: Terraform(モジュール化、S3+DynamoDBでリモートステート)
- CI/CD: GitHub Actions(plan自動コメント、手動approveでapply)
- Observability: Datadog(RUM/Synthetics)、CloudWatch Logs Insights
- コラボ: Jira, Confluence, Slack, PagerDuty

その下に「これらでどんな改善をしたか」を1文添えると、単なる棚卸しになりません。

リンクは3つまで。GitHubとRunbookを置く

  • GitHubリポジトリ(Terraformや小さなCLIツール)。READMEに構成図と削除手順を必ず添える。
  • RunbookまたはPostmortemのPDF/Notionリンク。障害対応力を補完できます。
  • 技術ブログやLT資料は1点だけ。量より質を見られます。

リンクが多すぎるとチェックしきれないので、**「これだけ見れば力量が伝わる3点セット」**に絞るのがおすすめです。

NGパターンを潰す

  • 「担当しました」「対応しました」だけで役割と成果が不明
  • AWSサービスを50個並べ、どれを設計しどれを運用したか曖昧。
  • 英語表記がバラバラ("RDS"と"Relational Database Service"を混在)。
  • 期間が書かれていないプロジェクト。改善の速度が推測できません。
  • 写経しただけのGitHubリンク。レビューで深掘りされたときに詰まります。

48時間で仕上げるチェックリスト

  • Day1 午前: 応募先3社の求人票からキーワードを抜き出す。
  • Day1 夜: 職務要約を3行で書き、ATSキーワードを散りばめる。
  • Day2 午前: プロジェクト3件を「課題→対応→結果」で埋める。
  • Day2 夕方: 数字の裏付けメモを付け、リンクを3点に絞る。
  • 提出前: PDF化して1ページ目の折り返しで要約が読めるか確認。

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書き終えた職務経歴書は、必ず音読してリズムを整えてください。読み手が3分以内で「どんな課題を、どんな技術で、どう変えたか」が掴めれば、面接での会話が一段深くなります。今日作ったテンプレが、次の内定への最短ルートになりますように。