資格1枚で走るクラウドインフラ転職:未経験が迷わない最短ルート

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夜勤明けにAWSの模擬試験を開きながら「これ、本当に今必要なのか」と立ち止まったことがあります。受験料は上がる一方、試験範囲は拡大、仕事と両立する時間は限られる。それでも転職は動かしたい。そんな時にたどり着いた答えが「資格は0〜1枚に絞り、アウトプットで補う」でした。この記事では、同じ悩みを抱える未経験・運用寄りのエンジニアに向けて、資格を減らしつつ応募を走らせる判断基準と手順を共有します。


資格沼にはまる前に確かめたいこと

  • お金と時間の現実: 受験料は1回15,000〜20,000円前後。改訂をまたぐと倍かかります。週10〜15時間を確保できるか先に決めると迷いが減ります。
  • 求人要件の言い回しを読む: "must: AWS設計経験" と書いてある求人は資格で埋めにくいですが、"plus: Azure運用経験" 程度なら実機アウトプットで通ることが多いです。
  • 実務で触れたクラウドの有無: 触ったことがあるクラウドを基準に選ぶと、学習コストが最小化します。知らないクラウドの基礎資格を足すより、触ったクラウドでアウトプットを濃くする方が速いです。

CLFかAZ-900か、1枚に絞るならどちら?

比較軸 AWS CLF Azure AZ-900
現場の母数 大手〜スタートアップまで幅広い エンタープライズと自治体が多い
学習コスト 模擬+ハンズオンで20〜30時間 同程度だがAD連携の概念が多め
進路 マルチクラウド/FinOps/SREへ拡張しやすい 情シス・M365連携の強化で評価されやすい
まず選ぶ基準 転職サイトでAWS案件が多いならこちら 現職がMicrosoft中心ならこちら

私はオンプレAD運用が長かったのでAZ-900を先に取りましたが、AWS求人の多さを見てCLFを追加し、そこで応募が一気に通り始めました。「求人母数」と「現職の延長線」のどちらを優先するかで決めると後悔が少ないです。


0〜1枚で応募を始めるための現実的なフレーム

  1. 求人を三分割する: 「資格ゼロで応募可」「資格1枚推奨」「経験必須」。エージェントにこの分類で出してもらうと無駄打ちが減ります。
  2. 職務経歴書で“証拠”を前に出す: 触った環境、作ったアウトプットURL、学習中の資格(受験日付き)の3点を冒頭に配置。資格よりアウトプットの位置を上げます。
  3. 面接での説明台本を作る: 「なぜ資格を増やさないのか」を1〜2文で準備。例: "求人要件を分析するとCLFで十分と判断し、残りの時間をTerraformのアウトプットに使っています"。

職務経歴書に差し込む短文サンプル

  • "TerraformでVPC/ALB/EC2/RDSを10リソース構築し、GitHub Actionsでplan結果を自動コメント化(URL)"
  • "CloudWatchダッシュボードでSLOベースのアラートを設計し、誤報を40%削減(検証ログURL)"
  • "2026-01-20 AWS CLF 受験予約済み"

最小ポートフォリオ3本で“資格なし”を補う

  • ネットワークの骨格を組む: VPC/サブネット/セキュリティグループ/Route53でHTTPS公開まで。READMEに「脅威モデル→設定理由→検証結果」を残すと説得力が上がります。
  • IaCで再現性を示す: Terraformで10リソース以内に収め、terraform plan をPull Requestに自動コメント。コードと結果がセットで見えると、書類選考での説明が短く済みます。
  • 可視化と運用を1枚にする: CloudWatch DashboardやAzure MonitorでSLOに沿ったメトリクスを1画面に集約。アラームの閾値とRunbookを同じリポジトリに置くと運用設計力を示せます。

どれも無料枠と個人時間だけで作れます。資格の勉強時間を半分にしてでも、これらのURLを用意した方が通過率は上がりました。


今すぐ動いた方が得な理由(2025/11/29時点)

  • 採用の山は年明け: 2026年1月〜2月に面接を回すには、12月中に書類とアウトプットを固めておく必要があります。年末は応募が減り、選考が止まりがちなので先に予約を入れておくと有利です。
  • 試験改訂のリスク: ベンダー試験は改訂告知から1〜2か月で旧版が閉じます。改訂直前は試験枠が埋まり、再受験で費用と時間が倍になります。先に日程を押さえるだけでリスクを半減できます。
  • キャンペーンの期限: AWSやAzureの無料ハンズオンや模擬試験クーポンは年度末で終了することが多いです。費用を抑えたいなら11〜12月が下限でした。

エージェントに頼むときの伝え方

  • リクエストの軸を明確に: 「資格0/1枚で応募可」「学習中を評価してくれる求人」「Terraformや監視のアウトプットを歓迎する環境」と伝えます。
  • 面談で話す三点セット: 現職で触れた環境、作ったアウトプットのURL、受験予約日。これだけでヒアリングがスムーズになり、紹介スピードが上がります。
  • 日程の並べ方: 試験日から1週間以内に一次面接を置くと、学習の記憶が新しいまま話せます。面接で「直近でどこまで触ったか」が聞かれたときに鮮度が効きます。

よくある質問を先回りで

  • 資格ゼロで落ちたら? 課題はたいてい「再現性の証拠不足」です。Terraformリポジトリやダッシュボードのスクリーンショットを追加し、次の応募で使い回します。
  • CLFとAZ-900のどちらを先に取る? 求人母数を優先するならCLF、現職がMicrosoft中心ならAZ-900。迷ったら転職サイトで直近30日の求人数を数えて決めます。
  • 2枚目はいつ? 1枚目で書類が通ったら、面接が走っている間にTerraform AssociateかSecurity+を仕込むと、オファー前の加点に使えます。
  • 週5時間しか取れない場合は? 資格学習を週2コマ、残り3コマでポートフォリオ更新。時間が足りない日は、通勤時間に模擬試験だけ回す割り切りで十分です。

今日から動くならこの順番で

  1. 今夜:CLFかAZ-900のどちらか1枠を予約する。
  2. 週末:VPC構成とTerraform 10リソースのリポジトリを形にし、READMEに理由を書く。
  3. 来週:エージェント面談を1件入れ、上記リポジトリと受験日を共有する。

資格を増やさなくても、証拠を先に出せば選考は動きます。迷っている時間を「予約」と「アウトプット」に置き換えて、年明けの面接に間に合わせましょう。